あなたの両親は大丈夫?

記憶障害や徘徊などの症状があったら要注意

認知症の症状は大きく2種類あり、中核症状と周辺症状に分けられます。それぞれの特徴は以下の通りです。

◆中核症状
中核症状は認知症そのものが原因で起こる症状です。直近の出来事が思い出せないといった記憶障害、人や物の名前が出てこない失語、今日の日付や曜日、自分がいる場所が分からなくなってしまう見当識障害が代表的な症状です。他にも視覚や聴覚などの五感が正常に働かなくなることや、行動障害が発症することもあります。

◆周辺症状
周辺症状は中核症状を原因として起こる症状で、代表的なものが徘徊です。見当識障害に加え、本人の意思やこれまでの生活習慣で外出したまま戻ってこられない、目的地が分からずさまよってしまうことになります。他にも、記憶障害が原因で物を盗まれたといった被害妄想や幻覚、うつなどを発症することもあります。失禁も周辺症状として起こります。トイレの場所が分からなくなることや、そもそも尿意に気づかないことが原因となります。

取り返しがつかなくなる前に知っておこう

認知症が一度発症すると完治することは難しく、症状の進行を抑えることしかできないのが現状です。症状が進行すると自立した生活ができず、事故などを引き起こすこともあります。判断力が低下して交通事故を起こしたり、記憶力の障害によって昼夜を問わず徘徊するといったこともありますし、介護している家族や介護士に対して暴力を振るうといった症状が出ることもあります。さらには幻覚や錯覚などの症状が出ることもあるため、症状が進行すると1人で生活をすることによるリスクが増えることになります。

判断力が低下すると、物事の善悪が分からなくなることもあり、それまで問題行動がなくても急に万引きなどをしてしまったり、赤信号を無視して渡ってしまったり、危険な場所へ入っていくなどの行為も起こしてしまうことがあります。

また、睡眠障害や欠食により極端に痩せてしまうこともありますし、異物を食べて喉に詰まらせてしまうこと、失禁や便をいじるといった行為もあります。健康・衛生面に関しても様々な問題が起こるのです。

アルツハイマーと認知症は違うの?

正確には認知症は病名ではなく、記憶する能力や物事を認識する能力、判断能力に障害が起こり、社会生活に支障をきたす状態のことです。アルツハイマーは「アルツハイマー型認知症」という認知症の一種なのです。認知症には原因によっていくつかのタイプに分類されます。

アルツハイマー型認知症は脳にタウタンパク質やアミロイドベータなどの物質が蓄積されることで神経伝達に障害が出ることによって引き起こされるタイプの認知症です。男性に比べて女性に多く見られることが特徴であり、認知症の半数以上は、このアルツハイマー型認知症と言われています。

次いで多いタイプが、レビー小体型認知症です。神経細胞にレビー小体という特殊なタンパク質が大脳皮質・脳幹などに集まることにより脳に異変が起きるもので、男性に多く見られます。

また、脳梗塞など脳や脳周辺の病気によって脳細胞に酸素が送られず発症するタイプの認知症もあります。症状が出たりよくなったりを繰り返すことがこのタイプの特徴で、アルツハイマー型と大きく異なる点です。

この他にも若年性認知症、まだら型認知症など認知症のタイプはいくつも存在し、それぞれ原因や症状に違いがあります。