ストレスや生活習慣が原因?!

ストレスは認知症発症リスク大

ストレスが健康に与える影響は大きく、認知症もストレスによって脳の神経細胞がダメージを受け、発症のリスクを高めるとされています。そのため、できる限りストレスを溜めないことも認知症予防には大事です。

現在までの研究結果によると、高齢期にうつを発症した人は、発症していない人に比べて認知症のリスクが約2倍になることが報告されています。その中でも脳血管性認知症はリスクが2.5倍以上に、アルツハイマー型認知症でも1.5倍以上高くなるということです。また、スウェーデンのヨーテボリ大学が行った研究によれば、46才以上の女性800人を対象に38年間の追跡調査を行った結果、中年期に不安や嫉妬などの感情の起伏が激しかった人は、老年期になってアルツハイマー病を発症する割合が約2倍であったそうです。

若年性認知症の場合も、発症の前段階とされている軽度認知障害の段階でうつ状態にある人は、より認知症を発症しやすいと言われています。この他にも、ストレスを受けた際に分泌されるホルモン物質であるコルチロイドが長期間に亘って脳に作用すると、脳細胞を破壊して海馬を萎縮させる原因になると言われています。認知症のリスクを減らすためにもストレスフリーな生活を心がけ、ストレスを溜め込まずに解消することが大切と言えます。

規則正しい生活習慣は必須

不規則な食生活や運動不足によって引き起こす生活習慣病は、ガン・心筋梗塞・脳卒中などのリスクが上がるということは広く知られていますが、これらだけではなく認知症も深い関係にあるのです。生活習慣病で起きる脳梗塞や脳血管障害が原因となって認知症が発症することがあります。高血圧や動脈硬化によって血流が悪化すると、血管系の疾病リスクが増えることになり、結果的に認知症のリスクも高まるのです。

さらに、糖尿病とアルツハイマー型認知症にも関係があることも分かってきました。糖尿病になると、アルツハイマー型認知症の原因となるタウタンパク質やアミロイドβが分解されづらくなるため、リスクが高まるのです。

このような生活習慣病が引き起こす認知症のリスクに関しては長年の生活習慣が関わることなので、高齢になってから急に対策を考えるのではなく、日頃からの健康的な生活を心がけることが大切になります。食生活の改善・質のよい睡眠・禁煙など、すぐに始められることから変えていくことが将来的な認知症予防につながるのです。

加齢や遺伝も関係している

前述のように、最近の認知症に関する研究では、アルツハイマー型の認知症は脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積されることによって神経伝達が正常に機能せず、脳が萎縮することが原因であることが分かってきました。アミロイドβの蓄積は、加齢に従って増えていくものですので、認知症のリスクは加齢によって増加することは避けられない面もあります。

ただし、高齢者でなくても起こり得る若年性の認知症を中心に、発症原因の1つに遺伝も関係があるようです。若年性の認知症の場合はほとんどのケースが遺伝とも言われています。他のタイプの認知症も遺伝とは無縁ではなく、遺伝子の型によって発症リスクに違いがあるようです。

近親の方で認知症を患っている方がいる場合は、より一層注意する必要があると言えます。認知症の発症原因は加齢や遺伝だけではありませんが、リスクを知って予防することは重要なことです。