世界的に急増している患者数

女性が圧倒的に多い認知症

認知症には様々なタイプがあり、タイプごとに性別によって発症リスクが異なることも知られています。最も有名なアルツハイマー型認知症の場合は、男性に比べて女性の方が明らかに発症リスクが高いというデータが出ています。認知症の中で患者数が最も多いのがこのアルツハイマー型であり、多くの方がイメージするもの忘れなどの症状が主な特徴です。

反対に、男性が発症しやすい認知症のタイプとしては、脳血管性認知症が挙げられます。脳梗塞やクモ膜下出血などの脳血管疾患が原因となって脳の機能が低下していく認知症で、そもそも脳疾患の主な原因である生活習慣病自体が男性に多いことも男性の発症リスクが高い要因と言えます。

当然、男性であってもアルツハイマー型の発症リスクがない訳でななく、女性も脳血管疾患によって脳血管性認知症になることも十分にあり得ます。また、アルツハイマー型と脳血管性認知症がどちらも原因となる、混合型の認知症というものもあります。

認知症患者は増え続けている

認知症患者は世界的にも増えており、国際アルツハイマー病協会の発表では2015年の段階で、世界の認知症患者はおよそ4,680万人という推定が出されています。将来的に認知症患者はさらに増えることが予想され、2050年には認知症患者数が1億3千万人を超すと考えられています。日本国内でも認知症の患者数は2012年の段階で462万人で、2025年には700万人に増加すると予想されています。

その一方で認知症に関する研究も進んでおり、認知症の発症段階で症状の進行を遅らせる取り組みも行われています。今後の研究や薬の開発に期待が寄せられています。

ただし、現段階では先進国でも認知症患者数を減らすことを成功している国はありません。効果の高い予防法や、治療法、特効薬もないため、認知症の治療や介護にかかるコストや損失も大きいことが問題となっています。そのため、認知症は世界的に取り組まなければいけない課題なのです。

日本社会が直面する認知症

日本の認知症の患者数は前述の通り2015年1月の厚生労働省の発表で、2012年時点での認知症患者の数は462万人です。割合では65才以上の方の7人に1人が認知症にかかっていることになります。

これが2025年には認知症患者の数は700万人を超えるとの見通しになっており、13年間で1.5倍に増加することになります。そうなった場合は65才以上の方の5人に1人が認知症ということになります。その後ろには認知症予備群の方がそれ以上に存在するため、誰もが認知症のリスクを抱えて生活していることになります。

認知症が抱える課題として、本人だけの問題ではなく、支える家族にとっても深刻な問題となることです。精神的、肉体的に影響を与えるだけでなく、介護をするための経済的な負担や仕事への影響なども問題となります。そのことがストレスとなり、家族の健康面にも悪影響を与えるという負の連鎖が起こるのです。